微分積分(解析学)

数列の極限(4)

次のように帰納的に定義される数列 {an} の極限値を求めよ。
(1)a1=1,an+1=3an+2an+1 (n1)(2)a1=1,an+1=12(an+3an) (n1)(3)a1=1,an+1=an+1 (n1)

(1)
まず、この数列の有界性を示す。すなわち an<3 であることを示す。 n=1 のときは a1=1<3 より明らかに成り立っている。 次に n>2 に対して
an+1=3an+2an+1=31an+1<3 より、任意の nN について an<3 が成り立っていることが分かる。 ここで、an>0 であることを用いた。

次に、この数列の単調性を示す。すなわち、単調増加数列であることを示す。
まず、a2a1=3/2>0 が成り立っている。
次に n>2 に対して
an+1an=3an+2an+13an1+2an1+1=2anan1(an+1)(an1+1)>0
が言えるので、単調増加数列であることが分かる。ここで n=2 のときに上式の不等号が成り立つことを用いた。

従って、数列 {an} は上に有界な単調増加数列であるので収束する。その収束値を α とすると
α=3α+2α+1α=1±3
となり、今、α>0 より、α=1+3 と求まる。

(2)
まず、数列 {an} の極限値が存在すると仮定すると
α=12(α+3α)α=±3
となり、α>0 を考慮して、α=3 と求まる。

以下、数列 {an}3 に収束することを示す。
まず、相加相乗平均の関係より
an+1=12(an+3an)3
であることに注意する。

an+13=12(an+3an)3=an32an(an3)0
最後の不等式は先に相加相乗平均を用いて得られた関係を用いた。

さらに
0an3an<1 なる関係が成り立つことに注意して an+13=12an3an(an3)12(an3)(12)2(an13)(12)n(a13) が成り立つので limn]infty|an3|=0 が言える。従って、数列  {an}3 に収束することが分かる。 (3) まず、数列 {an} の有界性を示す。すなわち,an<2 を示す。 数学的帰納法を用いて示す。 まず、a1=1<2 である。 次に、an<2 と仮定すると an+1=an+1<2+1<2 となり、an+1<2 が示される。 次に、数列 {an} が単調増加数列であることを、同様に数学的帰納法により示す。 まず、a1=1,a2=2 より a1<a2 が成り立っている。 次に an>an1 が成り立っているとするとき
an+1an=an+1an1+1=(an+1an1+1)an+1+an1+1an+1+an1+1=anan1an+1+an1+1>0
が成立する。

従って、数列 {an} は上に有界な単調増加数列であるので、極限値を持つ。その極限値を α とすると
α=α+1α=1±52
となり、α>0 に注意すると、極限値は
1+52
と求まる。

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