微分積分(解析学)

数列の極限

(1)
$n \in \mathbb{N}$ とするとき、二項定理
\begin{align}
(x + y)^n &= \sum_{k = 0}^n {}_n C_k x^{n – k} y^k
\end{align}
が成り立つことを用いて、不等式
\begin{align}
1 + n + \frac{n(n – 1)}{2} \le 2^n
\end{align}
が成り立つことを示せ。
(2)
(1) で得られた関係式を用いて、次の極限
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} \frac{n}{2^n} &= 0
\end{align}
を示せ。

二項定理において $x = y$ とし、$n \ge 2$ とするとき
\begin{align}
2^n &= {}_n C_0 1^n + {}^n C_1 1^{n – 1} 1^1 + {}_n C_2 1^{n – 2} 1^2 + \cdots
\end{align}
が成り立つ。ここで $\cdots$ は 0 以上であるので
\begin{align}
2^n \ge 1 + n + \frac{n(n – 1)}{2}
\end{align}
が成り立つ。また、$n = 0, 1$ の時も実際に代入することにより、成り立つことが分かるので、自然数 $n$ について成り立つことが分かる。
(2)
(1) で得られた不等式より
\begin{align}
\frac{n^2 + n + 2}{2} &\le 2^n \\
\frac{1}{2^n} \le \frac{2}{n^2 + n + 2} \\
0 \le \frac{n}{2^n} \le \frac{2 n}{n^2 + n + 2}
\end{align}
が得られる。
ここで
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} \frac{2n}{n^2 + n + 2} &= 0
\end{align}
となるので、はさみうちの原理より
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} \frac{n}{2^n} &= 0
\end{align}
が得られる。