線形代数

行列の基本的な性質(9)

$A$ を $n$次の正方行列とする。任意の $n$次の列ベクトル $\vec{x}$ に対して
 \begin{align}
A \vec{x} &= \vec{0}
\end{align}
が成り立つならば、$A$ は零行列であることを示せ。

$\vec{x}$ として、第 $i$ 成分($1 \le i \le n$)のみが 1 であり、その他の成分が 0 である列ベクトルに対して
\begin{align}
A \vec{x} &= \vec{0}
\end{align}
を適用すると、$A$ の第 $i$ 列の要素が全て 0 であることが分かる。
$i$ は $1 \le i \le n$ の範囲で任意に選べるので、$A$ の全ての成分が 0 であること、すなわち、$A$ は零行列であることが結論付けられる。